「変える」こと、「変えない」こと、その選択の積み重ねこそが自塾を理想に近づけることに他ならないと思います。
良い塾の定義とは何か?
そもそも塾は何をするところなのか?
塾講師になって30年近くなりますが、私はこのテーマをずっと考え続け行動してきました。
しかし幾度となく教壇に立ち、何百人、何千人の子供達を教え、14年前に独立し、自塾を立ち上げても尚、その自分の想い描く理想の塾に到達することはできていません。
私は「職人気質」という言葉が好きです。
「職人」とは、頑固で、普通なら特にこだわらない細かい部分や、やらなくても良い所まで徹底的に、こだわりを持ち、嘘やごまかしが好きではなく、1つのことを愚直に長い時間をかけて極めた人のことをいうのだと思います。
うなぎ職人の世界では、「裂き3年、串打ち三年、 焼き一生」 表現される厳しい世界です。私は塾講師の世界もこのうなぎ職人の世界に似ていると思っています。
私が塾講師に成り立ての新人の時、なかなか上手い授業が出来ず、授業前に生徒が誰1人もいない空の教室で、黒板に板書し、あらかじめ紙に書き出した授業説明を大きな声を出してリハーサルを何度も何度もしました。
時には、自分の授業をカセットテープに録音し、車の中で何度も何度も聞き直して「ココは直さない」と「この説明は変えない」とよく練習したものです。
まさに、1人前に教壇に立つことができるようになるまでに3年かかりました。
今でも、自分自身が納得のいく授業ができるのなんて1年に数回ぐらいしかありません。
「もういいや、」と言ったとたん自分の思い描いた理想の授業だとか理想の塾だとか、そういうものから遠く離れていってしまうのだと思うのです。
しかし時代は猛スピードで変わっていきます。塾も昔と同じままではついていけるはずがありません。
時代の波に揉まれる中で、大切なのは、自分の想い描く「理想の塾とは何なのか?」この追求心を忘れないというある種の職人魂だと思うのです。
何を守り?何を変えてくのか?
「変える」べくして自塾に新しいことを取り込み、「変えない」がゆえに深くめていく、その選択の積み重ねこそが自塾を豊かにし、理想に近づけていくエネルギーの源になるのだと思います。
だから私は、その選択精度を上げるために、本を読み、他塾を見学させて頂き、自らの学びの場としてセミナーなどの勉強会に出掛けます。
絶えず、自分自身が学び、成長することこそが理想の塾に近づくことに他ならないのではなでしょうか?
最後に、小説みかづきの一節を紹介して、私のつぶやきを終えたいと思います。
常に何かが欠けている三日月。教育も自分と同様、そのようなものであるのかもしれない。
欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと 研鑽 を積むのかもしれない、と・・・
さぁ、ここから受験本番です、力を込めて受験生達を応援します。
守田 智司
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